上級の会話では、聞こえた英文を順番に訳すだけでは、話し手が何を守ろうとしているのかを見失います。このレッスンでは、発言を「立場・制約・判断基準」に分けて聞く方法を身につけます。
発言の表面だけでなく、その人が置かれた立場、自由に変えられない制約、賛否を決める判断基準を整理できるようになる。

上級では「何を言ったか」だけでは足りない
同じ提案に対して、営業は顧客への影響、財務は費用、開発は実現可能性を重視します。発言が食い違うとき、誰かが間違っているとは限りません。見ている判断基準が異なるのです。
たとえば、ある責任者が I’m not against the idea, but we need a clearer estimate of the support cost. と言ったとします。表面上は全面反対ではありません。しかし、今の情報だけでは承認できず、「サポート費用の見積もり」が判断を変える条件だと分かります。
発言を3つの箱へ分ける
1.立場――誰を代表しているか
役職名だけでなく、その人が何に責任を持つかを考えます。営業なら顧客との約束、財務なら予算と採算、法務なら契約や説明責任が中心になるでしょう。
2.制約――自由に変えられないもの
期限、予算、契約、品質、人員、既に公表した約束などです。We have some flexibility on scope, but the launch date has already been announced. なら、範囲は動かせても日程は動かしにくいと分かります。
3.判断基準――何が満たされれば動けるか
If we can limit the first phase to two regions, I could support it. の中心は「条件付きの賛成」です。二地域に限定できるかどうかが判断基準になっています。
- この人は誰に対して責任を負っているか
- 何を守る必要があるか
- 何が変われば結論も変わるか
表面の賛否と実際の判断を分ける
That’s an interesting proposal. は評価に聞こえますが、それだけでは賛成とは限りません。後ろに I’m not sure the timing works. が続けば、判断の中心は時期への懸念です。反対に厳しい質問が続いても、条件を確認して承認するための質問かもしれません。
上級では「肯定語があったから賛成」「but があったから反対」と一語で決めず、最後に残った条件と次の行動まで聞きます。
実践するときの4回の聞き方
- 1回目:会議の議題と暫定的な結論をつかむ
- 2回目:各話者が守ろうとしているものを拾う
- 3回目:変更できない制約と、交渉可能な条件を分ける
- 4回目:何が満たされれば判断が変わるか確認する
毎回全文を書き取る必要はありません。「Sales=customer promise」「Finance=cost ceiling」「合意条件=phase 1 only」のような短いメモで十分です。
よくある失敗
- 発言内容だけを記録し、誰の責任から出た発言かを見ない
- 制約と単なる希望を同じ重さで扱う
- 最初の賛否だけで結論を固定する
- 条件が満たされた後の担当・期限を聞き落とす
Module2以降での使い方
各会話の「最初に探す情報」を確認したら、余白に話者ごとの立場・制約・判断基準を一語ずつ書きます。字幕確認後は、最初のメモで見落とした層を一つ選び、音へ戻ってください。
仕上げチェック
- 事実と評価を分けられた
- 各話者が守ろうとしているものを説明できた
- 変えられない制約と交渉可能な条件を分けられた
- 賛否が変わる判断基準を言えた
- 最終的な担当・期限まで説明できた